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『回転する夜』 [観劇]

ウォーキング・スタッフ プロデュース ライブリーディング『回転する夜』@サイスタジオ コモネA
2012年12月5日19時開演

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作:蓬莱竜太(モダンスイマーズ)
演出:和田憲明

出演:
早山ノボル…遠藤雄弥
早山千穂(吉岡千穂)…内山慈
佐竹アツヤ(アッくん)…伊達暁
矢島ヨウスケ(ヤースケ)…原慎一(夜ふかしの会)
西田キョウヘイ(ニッキ)…逸見宣明(Dotoo!)
早山サダオ…多根周作(ハイリンド)

ト書き語り…酒向芳


とある架空の田舎町。丘の上に大きな洋風の一軒家がある。その1室、ノボルの部屋が舞台。
体調を崩し、寝込んでいるノボル。心配してやってくる、兄・サダオの妻、千穂。そして帰宅するサダオ。
朦朧とベッドに横たわるノボル。
思い出すのは、あの雨の日。兄が千穂を連れてきた晩のこと。
幼馴染のアッくん、ニッキ、ヤースケ。
言い出せなかった自分の思い。父の仕事を継ぐこと、そして千穂への想い。
交互に繰り返される夜。終わらない夜。その中で、徐々に前へ進むノボル。

リーディング公演とはいっても、ただ読んでいるだけじゃない。
明らかに、「演じている」役者たち。
その苦悩や驚き、気持ちの変化などが表情に現れては消えて行く。
リーディングなので、役者は客席を向いている。
その表情を正面から観ることの贅沢さ。
そして、その迫力。

同じシーンが、少しずつ変容しながら続いていく。
その変化を拾いながら、また登場人物の変容を想像しながら観ていく。
会話の中でちょっとずつ明らかになっていく様々な事実。
それにより一歩ずつ進んでいくノボル。

蓬莱さんらしい作風だな、と思い観ていた。
人間の暗い面を、隠さずに、正面から描いている。
どーしようもない、鬱屈とした感情。
この現実から逃れたいと思い、足掻く空しさ。
人の弱さ、脆さ、ずるさ、意地の悪さ。
でも、蓬莱さんの作品に登場する人たちはみんなそれぞれ必死に生きている。

自分が常に一番正しいわけでもなく、自分が一番真実に近いわけでもない。
他人と関わり、刺激を受けることで、自分自身は変容していく。
それは決して悪いことではなく、生きて行く上では当たり前のこと。
関わることで傷つき、悲しみ、苦しみ、でもそこから繋がっていく。

変容する自分の中で、変わらずに“そこ”にあるもの。
それが真の意味での“自分”なんだと思う。


多根さん目当ての観劇。
最初はひたすら嫌な兄・サダオ。
優等生で、真面目、人当たりがよく、自信に満ちている。
卑屈で内に籠る弟に対して、厳しい態度で接する。
また、ノボルの想い人であった(ある)千穂と結婚しておきながら、愛人がいる。
夜が回転するにつれ、サダオの抱える“モノ”が見える。
拗ねた子どものように、卑屈になり現実から逃げている弟に対して抱く感情。
「こんな仕事、やりたくてやってるわけじゃない!俺にだってやりたいことがあった!」
「お前がもっと頼りがいがあれば、こんなに使えないヤツじゃなければ!」
そうノボルに投げつけた言葉、感情、その表情。

痛かった。

その激しさと暗さと、そして強さと。
それでも、自分の役割を理解し、地に足をつけて進んでいる人間の逞しさを感じる。

ノボルを演じた遠藤雄弥。
ふら~っと頼りない、気弱で、情けない、兄へのコンプレックスを抱え、痛みから逃げている。
千穂への憧れと恋心を抱きながら、現実から逃げ続ける。
兄に仕事も千穂も取られたと卑屈になっている。
夜が回転していくうちに、変化していくノボル。
その細やかや変化を丁寧に演じていた。

千穂を演じた内田慈。
出てきた瞬間、その艶っぽさにドキッとした。
ノボルの元家庭教師で、兄の妻。
「お金を払えば誰とでも寝る女」と噂されていた千穂。
その千穂が抱える様々な事柄も、夜が回転していくうちに明らかになる。
私自身は、こういう女性にはならないし、なれない。
でも、彼女の抱えるジレンマはわかる気がする。
女は多面的な生き物だな、と思う。

アッくんを演じた伊達暁。
いやぁ、声がめっちゃ好みでした。
源ちゃん主演の『テキサス』に出てたはずなんだよなぁ。
その時の印象は強くないんだけど・・・。
自衛隊から帰ってきたあとの演技で、変化がよくわからなかったかな。
ノボルと千穂は、「変わった」と言ってたのだけど。
何か観落した(聞き落とした)んだろうか。

ヤースケを演じた原慎一。
どっかで観たなぁ、と思ってググってみたところ。
http://youtu.be/q4u-Agf_lz8
OverTheDogs『ラバーボーイラバーガール』のおまけで直ちゃんとキスしてた人だ・・・。

ニッキを演じた逸見宣明。
こんなタイプの友人を知っている気がする。
夢を語りつつ、現実味はイマイチ。
でも、本人はかなり真剣で真面目。
ムードメーカーで、派手なところもあるけど、根は熱い。
現実にもどかしさを感じつつ、自分を包囲する殻を破りたくても破れない。
おちゃらけているけど、実は色んなこと考えてて、でも少し足りてない。

ト書き語りの酒向芳。
落ち着いた語りでありつつ、ただのト書き語りではなく。
2度目の雨の夜では、下手から入って来て、ノボルを黙って見つめる。
作品全体の重石であり、軸としての存在。


久しぶりに観劇日記を書いてみたら、書きたいことが文字にできないね。
我ながらまとまってない感想&覚書になりましたわ。


ウォーキング・スタッフプロデュース
ライブリーディング公演『回転する夜』
於:サイスタジオ コモネA
2012年12月4日(火)~12月9日(日)
http://www.show-go.net/walkingstaff/
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