SSブログ

小路幸也「高く遠く空へ歌ううた」 [読書・映画]

小路幸也「高く遠く空へ歌ううた」(講談社文庫)

高く遠く空へ歌ううた (講談社文庫)

高く遠く空へ歌ううた (講談社文庫)

  • 作者: 小路 幸也
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/02/15
  • メディア: 文庫


港に霧が出た夜には「赤眼の魔犬」が現れ、次の日には必ず人が死ぬ――。高くて広い空に囲まれた町で暮らす、少年・ギーガン。また見つけてしまった10人目の死体。現場には革ジャンの男が現れ、「犬笛」の歌声が聞こえてくる。父さんはなぜ自殺したのだろう。謎の糸が少しずつ解けていく優しいミステリー。


ちょっと本自体の感想からはずれるかも。

後半のかなり最後に近くなってから、やっとこれが「空を見上げる古い歌を口ずさむ」と同じシリーズだと気づいた。

話は、前作とは全くつながることなく進む。
ギーガンを中心に淡々と進んで行くストーリー。
左目が“義眼”だからギーガン。
彼はちょっと独特。
喜怒哀楽を表現できない。
<表現する>ことがどういうことなのかがわからない。

そんな彼の視点で語られていく事件たち。

全編を通して独特で不思議な雰囲気が漂うのはそのせいだろうな。
それがなんだか読んでいて心地よいのはなぜだろう。

最後には<表現する>ことができるようになるギーガン。
果たして、本当にそれって幸せなこと??
確かに社会で暮らしていくには<表現する>って大切だ。
コミュニケーションにも、表情は必要だし、何かを伝えるにも<表現する>ことが必要不可欠。

でも本当に本当だろうか。
<表現する>ことで私たちは本当に何かを得てるんだろうか。

話は、ギーガン少年の日常で起こる事件を解決しようとする過程。
登場する人物たちがみなそれぞれ個性的なのは小路作品に共通する。
みんな、友人思いだったり、家族思いだったり、とても優しい心を持ってる。
人が人を思う気持ちが散りばめられて光ってるように思う。

優しいなぁ。
小路作品を読んでると、なんとなくそう思う。

このシリーズってまだまだ続くのかな。
続いてほしいなぁ。
nice!(0)  コメント(2)  トラックバック(1) 
共通テーマ:

nice! 0

コメント 2

こだま

私も最後の方までまったく気づかなかったです・・・。
でも気づいてみると、やっぱり空気感みたいなものは同じで
こういう繋がり方って好きです。
でもこのシリーズはちょっと切ないというか、悲しいですね。
現代社会を反映しているようではあるけど。。。

個人的にはやっぱりハッピーなものが好きです♪
by こだま (2009-09-29 22:37) 

ぽぽぷりん

こだまさん
私はハッピーなのも好きだけど、こういうのも好き~。

なんだろな。
結局、物語ではハッピーでも現実ってそうじゃなかったりするじゃない。
そういう部分に目をそむけずに書き記してるとこに惹かれた。
by ぽぽぷりん (2009-10-02 22:03) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。