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『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』 [CARAMELBOX]

エンジェル・イヤーズ・ストーリー
演劇集団キャラメルボックス2009クリスマスツアー
『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』@サンシャイン劇場
2009年12月9日19時開演 1階17列16番


脚本:成井豊
演出:成井豊+真柴あずき

出演:
三沢静治………西川浩幸
三沢 奏………渡邊安理
三沢響太………多田直人
三沢詠子………大森美紀子
三沢つね子……小林千恵
八戸詩郎………左東広之
黒石秋人………阿部丈二
黒石春樹………菅野良一
黒石夏雄………三浦 剛
弘前恒一郎……筒井俊作
白神律花………前田 綾
十和田園美……坂口理恵
尻屋 智………細見大輔
陸奥玲子………岡内美喜子

何も言わなくていい。
父さんには、おまえの気持ちがちゃんと聞こえたよ


今回、芝居を観終わった後。
素直に「おもしろかったな」と思った。

キャラメルボックス本公演の新作(原作もの含む)で、そう思えたのは二年ぶり。
2007クリスマスツアー『トリツカレ男』以来のこと。

細かく言えば、満点じゃない。
色々と言いたいこともある。
でも、おもしろかった。


私は当日券で観た。
劇場到着は開演2分前。
17列目センターを購入して、客席へ。

驚いた。

17列以降、お客さんが誰もいない。
私がキャラメルを観始めてから、こんな客席を見たのは初。
まぁ、ここのところ、平日夜の観劇がなかったので、今回だけではないのかもしれないけど。
ちょっとショックだったなぁ。




ここからネタバレあり。




今回の話も去年の冬に続いて“家族愛”がテーマ。
細かく言えば、やっぱり今年も「都合がよすぎるんだよっ!」と突っ込みたくなるキャラクターばかり。
でも、気にならなかったんだよね。
理由はのちほど。

事故で頭を強打してから、他人の心の声が聞こえるようになってしまった静治。
その他人の声を表現するのは音響ではなく、舞台上の役者が演じる。

例えば、静治を囲んで、妻の詠子、母のつね子、息子の友人・詩郎が舞台上にいる。
その時には、それぞれその役者の後ろにその人の心の声を演じる役者が立つ。
詠子(詠子の心の声)、つね子(つね子の心の声)、詩郎(詩郎の心の声)と。
合計6人の役者が静治を取り囲み、会話する。
その会話の騒々しさが、静治の混乱をよりリアルに表現してる。

もちろん、心の声を演じる役者には、それぞれに本来の役がある。
なので混乱を避けるために、心の声を演じている役者は白い衣裳をまとっている。
パーカーであったり、コートであったり、ショールであったり。

この演出手法はおもしろかった。

ただ。
おもしろかったけれども、これは難しい。
私が観たのは、名古屋・神戸公演が終わって、東京公演始まって約二週間。
最近のキャラメルは公演までの稽古時間は短い。
名古屋初日ってどうだったんだろう??

話を戻して。
この心の声の表し方。
もちろん、舞台上の役者が、本来の役、心の声、本来の役、心の声。
というようにコロコロと役どころが変わっていく。
しかも、必ずしも一人の人の心の声を演じるとは限らない。
場合によっては数人の声、しかも次々に声の主が変わったりする。
もちろん、自分の本来の役も演じなければならない。
舞台上の役者はそのすべての役を理解して、すべての台詞を理解しなきゃならない。
しかも、声の主と心の声がしっかり一体感を持たなければならない。
これは難しいよ・・・。

そのドタバタ感が笑いを誘うのは事実。
でもそれで誤魔化されてるな、と思うシーンもある。

そして、一人で何人もの役を理解して台詞を理解しなければいけないためか、全体的に“浅い”。
キーになるだろう設定や、話題、人物の描写がほとんどされてない。
原作で話されているんだろうけど・・・。
まだ読んでいないので、“浅い”という感覚が強い。
芯が細いという印象を受けた。
というか、原作を読まなければ話がわからない芝居というのはどうなんだろうか。
そこを違和感なくまとめるのが脚本化するときの腕の見せ所だろうと思うのだが。


で、話は変わって、リアリティのないキャラクターなのに気にならなかった理由。
去年の冬に上演した『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』。
これはあまりにもリアリティに欠けるキャラばかりで、誰にも感情移入できなかったし、正直つまらなかった。

今年も同じ“家族愛”がテーマ。
なのにおもしろかった。
かといって、誰かに特別に感情移入をしたわけじゃない。
何でだろう、と一日考えてみた。

結論としては、去年は設定が中途半端にリアル。
なので、観てるこちらが現実と虚構の間で揺れて、芝居に集中できなかった。
これが、私個人的なあの芝居に対する思い。

それに対して今年。
これは観ている私の感覚の話なんだけど。
最初から虚構の世界にどっぷり。
そのまま最後までその感覚を持ち続けて観ることができた。
だから、多少の突っ込みどころは「まぁ、芝居なんだから」と受け流せる。

これって、長年観てきたキャラメルの芝居に共通して私が感じてたことだなぁ、と。
成井さんの描く、虚構の世界に入り込むのが好きで、キャラメルを観続けてる。
真柴さんが描くと、逆にリアルな作品になるので、それも好きなんだけど。
ようは中途半端はイヤなんだよね。

ちょっとここのところ、キャラメルの芝居について考えることが多かった。
私なりの答えが、今回観に行ってはっきり見えた気がする。


まぁ、色々と書いたけれども、やっぱりおもしろかった。
久しぶりに人に勧められるキャラメル作品。


演劇集団キャラメルボックス2009クリスマスツアー『エンジェル・イヤーズ・ストーリー』
2009年12月25日まで池袋サンシャイン劇場にて上演中。
平日夜はチケットも取りやすくなってるそう。
というか、ガラガラです。

お得なハーフプライスチケットも販売時間が一時間延びて買いやすくなりました。
販売店舗は下記のチケットぴあ2店舗です。
【池袋】東武百貨店池袋店プラザ館5階11番地
【有楽町】東京国際フォーラム・チケットセンター
開演の1時間前まで購入可能です。

お時間があればぜひ。
公演詳細についてはこちらから。
タグ:観劇
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コメント 2

まりえ

「虚構の世界」、なるほど、そうかもしれません~
トリツカレ男もそうかも
そういうのを期待してキャラメル観にいってるかもなぁ

あと、今回のエンジェルイヤーズストーリーは、全員でわーっと芝居をやってる!!ってかんじが好きです
by まりえ (2009-12-15 09:27) 

ぷりん

まりえさん
個人的に言うと、『トリツカレ男』も今回も“芝居”としてはちょっと違うんですよねぇ。
どちらも“芝居”以外の部分で“観せてる(魅せてる)”ところが多いので。
ただ、あの世界観が好きなんだな、って思いました。
それが私が18年もキャラメルを観続けてる理由なんだって。
by ぷりん (2009-12-15 10:47) 

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