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『7Days Judgement-死神の精度-』 [観劇]

7Days Judgement
石井光三オフィスプロデュース『7Days Judgement-死神の精度-』@シアタートラム
2009年8月21日19時開演 C列2番


死神の精度 (文春文庫)

原作:伊坂幸太郎(文集文庫刊)

脚本・演出:和田憲明

出演:香川照之/中川晃教/鈴木省吾/ラサール石井

【STORY ちらしより】
死神たちはみんな人間界のミュージックを気に入っている。
“彼”も同様、仕事の合間にCDショップによく足を運ぶ。
“彼”が仕事のために人間界へ赴くと必ず雨が降っている。
“彼”は青空を見たことがない。
今回“彼=千葉”が担当するのは、藤田という中年の男だった。
事前に渡された情報によれば、やくざ、ということらしい。
馬鹿正直なくらいの任侠の男、藤田。
その藤田に心底惚れ込んでいる若いやくざ阿久津。
命をはさんで向かい合う千葉と藤田。
7日後の藤田の命は、千葉のジャッジにまかされている。


伊坂幸太郎「死神の精度」。
MINERVA WORKSが秋にも舞台化。
あちらは8人の役者。

死神の精度
こっちは4人の男優。
しかも、いかにもおもしろそうな顔ぶれ。
ま、でも気がついたらチケット完売。
当日券で観てきました。

シアタートラム
よく考えたら、初日だったんですねぇ。
自分の予定だけで行ったので、カーテンコールまで気づきませんでした(笑)

2列目上手2席目、とはいえ、前の席がなかったので実質最前。
最初は見切れるシーンが多いかなって。
そしたら、逆にものすごくおいしい席でした。

この作品は「死神の精度」の「死神と藤田」が根本のストーリー。
でも、あの短編を男優4人では演じきれない。
そこで設定が多少変わったり、演出で見せたり。
アンサンブルも数人いた(たぶん3人かな?)。

死神・千葉を香川照之。
私が想像していたより、表情豊かなんだけど、これはこれでありだな。
香川さんの舞台は初。
映像でもとても気になる役者だったので、楽しみだったんだよね。
いやぁ、よかった。
もともと佇まいが独特の雰囲気持ってる人だし、人を食ったような態度ももともと印象にある。
なので、死神のイメージにはけっこう近いんじゃないだろうか。
もちろん、本の通りに無表情にはいかないので、結構表情はあった。
でも表現しにくそうな死神の“個性”を香川さんなりの死神として表現してたと思う。
この千葉もありだなぁ、いいなぁ、って思った。

ヤクザ藤田をラサール石井。
ラサールさんも舞台は初かなぁ。
演出家としては『その男』で見事な腕を観せてもらったのでね。
役者としてはどうなんだろう、と。
まぁ、もともと舞台の人なので、純粋に楽しみだったんだけど。
登場した直後のセリフは正直聴き取れなかった。
演出家としては最高でも、役者としてはダメなタイプなのか?と一瞬。
でも、芝居が進むに従って、藤田のキャラがはっきりくっきり。
ストーリー設定が変わっているので、弱い部分や優しい部分もある。
そういうところを含めて、ラサール石井という役者に惹きつけられた。

阿久津を中川晃教。
彼は初めてだったかな、二度目だったかな。
一番設定がいじられてたのは、彼だろうな。
でもそれを自然に受け入れられたのは、彼の“不安定な青年像”がしっかりしてたから。
尊敬しているのに、大好きなのに、殺したいほど憎い。
相反する大きな感情と、彼自身の複雑な過去。
目の表情がね、よかった。
でも、後方席だったら届いたのかはちょっとわかんないなぁ。
私の座ってた席からは阿久津の細かい表情がすごく観やすかったから。

で、もう一人の死神を鈴木省吾。
原作で藤田と対立する栗木についている死神。
今回は栗木は登場しないので、彼がかなり重要な役になる。
冒頭まもなくから、千葉とかなり接触を持って、死神同士の会話がある。
それが話を転換させていく。
死神2人のやりとりはおもしろかった。
でも難しい役だろうなぁ、千葉としかほぼ接触ないのにキーになる。
彼がしっかりしてないと、芝居自体がおもしろくなくなるだろうな。
原作を読んでいても、なっとくさせられるだけの演技だったわ。


他の短編の要素や台詞がかなり織り込まれてた。
阿久津の故郷が奥入瀬で、藤田と昔一緒に歩いた、とか。
流行っているCDが藤木一恵だったり。
「死神対老女」でのシーンが多数取り込まれてたしね。
藤田が「(死神が)空気でわかる」って言ってたのは老女が言った台詞だよねぇ。
ラストシーンで晴れるのも同じく「死神対老女」から。

もともと作品が持つ空気感を壊すことなく、短編それぞれからエピソードを織り込んで新しい短編を作った。

そんな印象を受けたなぁ。
そして、それが成功してたと思う。
どれもスムーズで、違和感なく一つの話としてまとまってた。

原作ものでここまでの芝居が観られるとはねぇ。
今年は大失敗した原作ものも観ちゃったので・・・。
期待半分、不安半分で観に行ったけど、ほんと楽しかった。

初日ということで、カーテンコールで拍手が鳴りやまない。
トリプルコール終わって、予定のあった私は退席。
それでも続いてたからなぁ。

チケットは完売だけど、当日券は出るようです。
シアタートラムにて8月31日(月)まで上演中。
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コメント 2

こだま

観たかったですよ~、コレ。
でも日程が壊滅的に無理でした・・・。

伊坂作品の映像化、どれもあんまり良い印象を持っていないだけに
舞台化も若干不安なんですけど・・・。
でもこちらは良かったみたいですね♪
MINERVA WORKSがどうなるか・・・楽しみでもありコワくもあります。
by こだま (2009-08-27 08:53) 

ぽぽぷりん

こだまさん
そもそも、公演期間自体も短いしねぇ。

原作ものの舞台化、映像化ってやっぱり難しいと思う。
なので、この作品の出来はかなり衝撃的(笑)
しかもあれで初日なんだもんなぁ・・・
劇場のサイズに見合った演技、ってものもよく考えられてたと思った。
演出の和田さん、今後もチェックすることにしました。
by ぽぽぷりん (2009-08-27 12:15) 

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