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恩田陸「中庭の出来事」 [読書・映画]

恩田陸「中庭の出来事」(新潮文庫)

中庭の出来事 (新潮文庫)

中庭の出来事 (新潮文庫)

  • 作者: 恩田 陸
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/07/28
  • メディア: 文庫


豪奢なホテルの中庭で、気鋭の脚本家が謎の死を遂げた。容疑は、パーティ会場で発表予定だった『告白』の主演女優候補三人に掛かる。警察は女優三人に脚本家の変死をめぐる一人芝居『告白』を演じさせようとする――という設定の戯曲『中庭の出来事』を執筆中の劇作家がいて……。虚と実、内と外がめまぐるしく反転する眩惑の迷宮。芝居とミステリが見事に融合した山本周五郎受賞作。


読み応えありました。
もう少ししたら、また読みなおそうと思います。

一ヶ所。
とても共感した部分があったので、引用。

 だけど、作品そのものに、おかしなものが紛れ込んでる時があるのね。媚というか、甘えというか、皮算用というか。そうすると、たちまち芝居が濁るの。くすんで、いたたまれないものになる。
 計算は必要よ。だけど、甘えは駄目。
 TVでも、人気劇団でも、時々お客に対する甘えを感じる時があるわ。
 わかってくれるよね、ほら、これ、知ってるでしょ?僕たち、楽しそうにしてるけど、結構大変なのよ。裏で苦労してるのよ。そこんとこ、ファンだったらわかってくれるよね。
 舞台の上の役者から、そんな声が聞こえてくるような気がしてゾッとする。
 あれくらいみっともないものはないわね。お客の顔色を上目遣いに窺いながら作ってるものくらい、みじめなものはないわ。
(p28811行目~p2895行目)


ハッとしたんだよね、この部分に。
あぁ、そっか、そういうことか。
最近、某劇団に対して感じる“違和感”はこれか、って。

はい、脱線。
もとに戻しましょう。

この作品自体は、3つのストーリが絡み合っている。
最初はどれが現実なのかがわからない。
そのうち、これは『戯曲』なのか?と思う。
『戯曲』を書くにあたっての素材の集まり?
そう思って読み進める。

不思議な話が短編のように散りばめられている。
でも、それぞれが一つの『戯曲』に繋がる。
なるほど、なるほど、こっちが中で、こっちが外。
そう思いながら読み進める。

と、最後の章。
あらららら??
あぁ、なるほどね、そうきたか(にやり)
なんて、余裕かまして読んでる。
と、最後にまた、やられた・・・。

いやぁ、おもしろかった。
また恩田さん、戯曲書いてくれないかなぁ。
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