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『動かない生き物』 [観劇]

『動かない生き物』
らくだ工務店第19回公演『動かない生き物』千秋楽@赤坂RED/THEATER
2010年10月28日19時半開演 F列3番

作・演出:石曽根有也

出演:
松永耕作……林和義
玉置滋……古川悦史
和田みどり……麻乃佳世
熊野リカコ……松本紀保
小木曽徹……永滝元太郎
山口亜美……宝積有香
前田寛太……今村裕次郎
成瀬広一……間瀬英正
成瀬亜希子……瓜田尚美


もしも時が戻せるなら16の秋に戻りたい。
高校を辞め、ただなんとなく生きていただけの一番戻りたくないあの頃に。
母からの電話に「あ、そう」とそっけなく返事をしたあの頃に戻りたい。
アイツが尻尾を振るのをやめた日、僕はパチンコをしていた。
もしも言葉がわかるなら、最後にアイツはなんて言っただろう。
メンドクサイと散歩に行かなかった僕になんて言っただろう。
机の下で嫌いなおかずをあげていた僕になんて言っただろう。
案外「マジでサンキューっす。幸せでした」なんて言ったかもしれない。
その答えはもう二度と聞くことは出来ない。
や、どっちにしろ聞けるわけない、と言い聞かせ僕は今日も散歩に出かける。


千秋楽にやっと観に行けた。
らくだ工務店らしい、いい作品。

ただ、ちょっと自分には色々と痛い部分があり過ぎて辛かったかな。

小木曽役の永滝さんがよかった。
こういう人が動物園のふれあいコーナーにいたら、子どもに人気でしょうね。

和田役の麻乃さん。
動物の気持ちがわかる、伝わってくるという役柄。
ちょっと不思議な、でも、どこかにいそう、と思ってしまう。
悪意はなくても、動物のプロである飼育係にとっては複雑な存在だろうな。

前田役の今村くん。
けっこうね、彼のやる役って、いつも嫌い(笑)
無知が原因の突っ走り。
熱意と暴走の履き違え。
自覚の足りなさ。
なんか、いつもそういう役が多い気がする。
今回は本当にイラついたなぁ。
プロとしての自覚の足りなさ。
先輩たちに対する敬意の欠如、無神経さ。
こういうタイプが職場にいたら、ぶん殴ってる、絶対。
観てて、気分悪くなったもの。
(そういう意味では、今村くんの演技は素晴らしかった(笑))

広瀬役の間瀬さん。
広瀬も嫌いだ(笑)
過ぎたことを後悔してジメジメと泣くのは誰にでもできる。
でも、それって逃げてるだけ。
それをバネにして、次に繋げるのがプロ。
まして、自分は三つ子の父になるのに。
甘えまくって、身重の妻から逃げるなんて。
これまた、身近にいたら、殴るな(笑)

玉置役の悦史さん。
漂々とした佇まいはいつも通り。
でも、ラスト近くの感情の爆発。
こういう演技をする悦史さんは初めて観たかもしれない。
意外だった分、玉置の叫びがぐさっと突き刺さった。

色んなことを連想しちゃってね。
父のこと、愛犬のこと、仕事のこと、人生のこと。
いい作品だったんだけど、きつかった。

セットは動物園の飼育係の詰所。
隣に大きな建物があって、そこはゾウ舎。
事務所の奥にはヘルメットや掃除道具、長靴なんかが並んでる。
壁には動物ニュースが貼ってあったり。
ホワイトボードにはスケジュールが細々と。
事務机の上には業務日誌やら、動物関係の書籍やら、細かい小道具。

建物自体はプレハブなのかな。
出入り口は三カ所。
下手に事務所や応接室に繋がる廊下(?)。
舞台奥に、ドアがあって、現場への出入りに使ってる。
上手手前に引戸の扉があって、ここが詰所の正面玄関になるのかな。
ここを出るとすぐ隣にゾウ舎の入口。

舞台の使い方はうまい、と思った。
こういう舞台装置ってどっかで観たことあるなぁ。
やっぱり、舞台監督もチェックすべきか(笑)

今回の舞台監督は青木規雄、舞台美術は福田暢秀(F.A.T STUDIO)。

書きたいことはもっとあるけど、言葉にできないなぁ。


桃山こども動物園。数日前からゾウのカズオが出てこない。担当の熊野は泊まり込みで様子をみている。すぐ間近に迫っている感謝祭の目玉はカズオのショー。このままでは、どうしようもない。主任の松永は他の動物園に相談に行ったが、前例がなく、打つ手がない状態。そこに、ショーで号令をかけるはずだった中学生が怪我をして来られなくなった。代わりを探さなくては、と玉置と前田が、松永の息子はどうか、という。しかし、松永の息子ケンタロウは引きこもり。それを言い出せずに断り切れない松永。そんな時、ふれあいコーナーに新しく入ったボランティアの和田が動物と会話ができるという。実際に、ポニーの調子が悪いのを言い当てたり(身重だったポニーは母子ともに死んでしまう)、ハムスターの要望を伝えたり。そんな和田をみて、前田はカズオの気持ちを聞いてくれ、と頼む。それにいい反応を示さない同僚たち。しかし、前田は勝手に和田をゾウ舎に入れてしまう。それに激しく怒る熊野。そんな熊野に前田は食ってかかる。他にどんな手があるんだ、感謝祭はどうするんだ。感謝祭のためだけにカズオを外に出すわけじゃない。そうたしなめる松永。前田はそれでも諦めず、和田にカズオの気持ちを教えてくれ、と詰め寄る。何かを口にしようとする和田。それを制止した玉置。あなたに何がわかるんだ。彼らの気持ちがわかるかもしれない、でも、それは我々には通用しない。そんな問題じゃないんだ。あなたは彼らのいったい何をわかっている。ゾウは1日にエサを何kg食べるか、糞を何kgするのか、レッサーパンダは何を食べているのか、気温は湿度は、教えてくれ。そう訴える玉置。しかし、そのうち話は自分の寝たきりで意識のない妻のことになる・・・。
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