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『ラストシャッフル』 [観劇]

『ラストシャッフル』チラシ表『ラストシャッフル』チラシ裏
東京ストーリーテラー『ラストシャッフル』@シアターKASSAI
2010年10月14日14時開演 自由席

作・演出:久間勝彦

出演(A-SIDE):
横田恭平……山沖純
水本久美……池上恵
清さん・金子清次……佐藤仁志
ノリ・塩野元典……中澤丈
タンキチ・丹波吉之……安部光一朗
ロク・磯本六治……NOBU
池上律子……小鷲順子
向井敏子……岩田有希子
神原公子……溝江奈美
ママ・白川麗……山田佳奈
尾早稲重吉……藤田直久
尾早稲文代……青山杉子
尾早稲政伸……長野耕士
国江田さん……栗原亮二
山内忠史……中澤丈

身寄りのない資産家の老人が死んだという。
噂を聞き金目の物を盗み出そうと屋敷に忍び込んだ恭平と久美。
しかし、そこで二人が出会ったのは、死んだはずの老人だった。
その場しのぎの男と、そんな男に惚れた女、そして人生の黄昏に悔いだけを残した老人。
手札が変われば運だって変わるはず、最後のシャフルにすべてを賭けて三人の奇妙なゲームが始まった。

下町の豪邸で巻き起こるハートフルストーリー。


佐藤仁志出演。

Wキャストで観たのは佐藤くんの出演してるA-SIDE。
これはきっと、役者が変わったら別の芝居になるだろうなぁ。

私と同世代の人たちにぜひとも観てほしい芝居。
きっとそれぞれに響く台詞があるし、それぞれ考えるもの感じるものがある。

とりあえず、私は号泣しました。
自分の父を思い出して、考えて、涙が止まらなかった。
泣きすぎて目と頭が痛くなった(笑)

とてもいい芝居、脚本だと思う。




ここからネタバレ含みます。




だらだらと思いついた順に感想を書いていきます。

いい芝居、と書いておきながら気になった点を(笑)

途中に何度かある久美の心の声(回想の声)。
録音なんだよね。
これは非常にもったいないし、残念だった。
照明や立ち位置で生の声で充分にいけるのになぁ。
どうしても録音だと、その日の芝居との温度差って生じる。
それが気になるんだろうな。
あとはそれらのシーンでオフの役者たちの動きがかなりある。
なので意識がそちらにいってしまうのも原因。
(オフであるはずの役者が、オンの演技というか声を食ってるとも言えるか)
そのせいで回想の声は記憶に残らなかった。

シーンの転換は暗転を使ってた。
これは舞台上の時間経過もあるので効果的だったな。
(薄闇でもおもしろかったかも)

冒頭の恭平と久美のやりとりは本当にイラついた。
かなり不快で、芝居そのものに不安を感じたほど。
でも、話が進んでいくとそれが狙いだったとわかる。
その意味では、二人の芝居は狙い通りのところを突いてるわけだ。

恭平と久美。
年齢設定がいまいちよくわからない。
話の流れから、恭平は30代半ばらしい。
まぁ、男性は幼い部分っていくつになっても持ってるから納得できる。

問題は久美の年齢。
20代半ばから後半ってところだろうか。
恭平と同世代にしては、感情の表し方が幼すぎる。
というか、女性の30代であれは痛い・・・。

草野球チーム・イールの登場も唐突。
まぁ、それもあとになって理由がわかるんだけど。
そう考えると、この脚本ってほんとよくできてるよなぁ。

少し都合がいいだろっ!って突っ込みたくなる部分もありつつ。
それでもやはりいい話だと思う、いい脚本。

文代おばさんのいう
「仕事をする以外の家族の愛し方なんて教わらなかった」
という台詞。

その台詞に込められた様々な思い。
私が抱いた思い。
愛し方なんて教わるもんじゃない、学ぶものだ。
でも“学ぶ”ということさえ知らない、気付かない世代だった。
その世代の男性たち、父たち。

病気になって、弱気になって、初めて本音を口にできる。
そうならないと口にできない。
本音や弱音は口にしないことが普通であり、当然であった世代。

素直になっても、そこで親子のわだかまりが少しほぐれても。
やり直すには少し時間が足りない、短い。
それでもきっと、最後までわかりあえないよりずっとずっとマシ。

父と息子(重吉と政伸)の関係に、恭平は自分と父の姿を重ねた。
本当に恭平の父が、息子のことを思っていたかどうかなんてもうわからない。
でも、生きていくために前を向くために一歩を踏み出すために、思う通りに解釈したっていい。
だって恭平の父はもういない。
恭平はこれからも生きて行かなくちゃいけない。
心に負った傷は消えない、消すことのできる人はもういないから。
ならばその傷に薬と包帯を、手当をしてくれる人を。
そういう人たちの手を借りて、前に進めばいい、生きて行けばいい。

重吉の口調が、病気になった父の口調を思い出させた。
父の言葉がぐるぐると回って、涙が止まらなかった。
不器用な父、本音を言えなかった父、弱音を吐かなかった父。
もっともっと一緒にいて、たくさんたくさん話がしたかったなぁ。
きっともっとたくさん話せることがあったし、わかりあえることもあったはず。

人は誰でも老いる、いつかは死ぬ。
居て当然の人が、いなくなるときが必ず来る。
いなくなってからじゃ、間に合わない、遅い。

介護については、描かれているよりもっと現実は厳しい。
「お金払って世話してもらうより、家族に世話してもらった方がいいに決まってる」
そりゃそうだろうね、でも【言うは易し行うは難し】。
そんな簡単なことじゃない。
それも知ってほしいし、忘れてないでほしい。

なんか、本当に色んなことを感じた芝居だった。
今週末までの上演。
もっとたくさんの人に観てほしい。
きっと強く感じるものがそれぞれにあるはず。


『ラストシャッフル』@シアターKASSAI
2010年10月7日(木)~17日(日)

チケットの予約や詳細は、東京ストーリーテラー公式サイトにて。
http://tokyostoryteller.jp/
タグ:観劇
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