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『(紙の上の)ユグドラシル』 [キャラメル役者客演]

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innerchild Vol.14『(紙の上の)ユグドラシル』@青山円形劇場
2008年4月5日14時開演

http://www.innerchild-web.com/

作・演出:小手伸也

出演:
小手伸也(innerchild)…悪路王、ユミル、首竹智人
菊岡理紗(innerchild)…母禮、アウズフムラ
土屋雄(innerchild)…大嶽丸、シャツィ
三宅法仁(innerchild)…高丸、エーギル
石井カナエ(innerchild)…伊治、坂上鷹子

初谷至彦(NG企画)…ニーズホッグ
中山智香子…ウルズ
津留崎夏子…ヴェルザンディ
仲村梓…スクルド

藪間優一(スロウライダー)…坂上樹
松本華奈…坂上実

大内厚雄(演劇集団キャラメルボックス)…坂上田村麻呂、オーディン、坂上八馬
武智健二(ジャパンアクションエンタープライズ)…多治比浜成、ロキ
進藤健太郎(無名塾)…百済俊哲、ニョルズ
井俣太郎(少年社中)…巨勢野足、トール

小田篤史(東京コメディストア)…フレイ
響子(ASSH)…フレイヤ

稲川香織…ゲルズ
久保寺淳子…ヘル

石村みか…香菓、スカジ、瓜生樹
宍倉靖二(innerchild)…坂上一樹


【「(紙の上の)ユグドラシル」プロローグ 公式サイトより】

ここには、たいそう立派な樹が生えていた。
多分僕が生まれるずっと前からそこにあったんだろう、この町に住む者なら誰しもがこの樹を知っていた。そのことが誇りなのか、父はよくこの樹を人に見せ、その由緒を人に語った。
小さい頃はこの樹の下での一家団欒がお決まりの行事のようになっていた。季節の変わり目なんかは親戚まで参加したりして、花見でもないのに樹の下で飲み食いをした。そんな、変な家族。
そう。僕にとってこの樹の想い出は、常に「家族」の想い出と同じ引き出しに入っている。

「北欧神話」によると、この世界は『ユグドラシル』という名の巨大なトネリコの樹によって支えられているという。

似たような「世界樹」「宇宙樹」の信仰は、日本も含め世界中に散らばっている。神や宗教、あるいは悟りや哲学と「樹」は大抵セットになっていて、そんな先人の影響なのか、人という生き物は「樹」を見上げる時に、大なり小なり何らかの感慨を抱いたりするものだ。その感慨を心理学に持ち込んだコッホという学者が、『バウムテスト』という心理検査を発案した。紙に樹の絵を描かせて、その枝ぶりや描き込み具合でその人の心理状態を診る訳だ。

ここに立っていて思い出すのが、この『ユグドラシル』の話と『バウムテスト』。
そして、「樹(イツキ)」という名の、『樹木医』を目指す一人の女性と出会った日のことだ。

「この樹は優しいね。」
その日、彼女は唐突に現れ、そして唐突に話し掛けてきた。
「まだ修行中だけど、中々お目に掛かれない、純粋で優しい樹。」
シュギョウという言葉に多少引っ掛かりつつ、僕は彼女から漂う異世界のような居住まいに、何処か惹かれていた。が、鬱々としてたその時の僕には、何ともエコロジストを気取った不快な奴だとしか思えなかった。彼女は言葉を続けた。
「絵を描かせてもらってもいいかな?」
そう問われた時、僕の中で底意地の悪い感情が芽生えた。今にして思えば、人を追い返すだけなのに何故そんな手の込んだことを考えたのかと不思議に思うが、僕は彼女にちょっとした遊びをしようと持ちかけた。
「バウム・テスト?」
彼女は小首を傾げながらも楽しそうに誘いに乗ってきた。やり方は習っていたし、親父の書斎で本も読んだが、結局は、あることないこと診断結果を出して、この人の良さそうな女を傷付けてみたいだけだった。
スケッチブックに二本の縦の曲線を引く彼女。おそらく幹だ。虚ろな中空構造は幼い精神構造の表れだ。樹冠にあたる部分はまるでフタだ。外界との接触が苦手なのか。…そんなことを考えてる内に、彼女はそのフタの上に山や川を書き出し、更に樹を付け足し始めた。そんな絵は見たことがない。僕は思わず口を挟んでしまった。
「これ?これはね、『ユグドラシル』…。」

その絵と共に語り始めた彼女の物語を、僕は今でも覚えている。そして、今ならはっきりと言える。僕の世界は、この樹に支えられていた。それを彼女に教わった。これから話すのは、僕が体験した、この樹と僕の物語だ。

でも同時に、これはアナタの話でもある。自分が何に根付き、何処に枝葉を伸ばし、何を咲かせ実らせるか。
樹は誰の人生でもなぞらえることが出来る。この地球で最も身近で最も長命な生き物と向き合えば、きっとアナタも何かを語りたくなるはずだ。だって、世界はまだまだ緑に満ちていて、誰の傍にも、彼等は居るのだから。

僕の名前は「樹(タツル)」。ここにあった樹にちなんで、父が付けた名だ。それが僕にはたまらなく嫌だった。
その理由を、まずは話したいと思う…。
紙の上の『ユグドラシル』―――僕の世界を教えてくれたのは、その「樹」だった。



キャラメルボックスの大内さん、少年社中の井俣さんお目当て。

基本的に役者は素足。
これ、とっても好感が持てた。
その足下にあるであろう『土』の存在を強く感じた。
特に冒頭の坂上家が御神木の下で集まっているシーン。
穏やかな空気、家族団らん、樹(たつき)の孤独感、ざわざわした心、怪しい雲行。
その変化がよかった。

ダンス(?)もよかった。
円形ならではの舞台の使い方だった。
ぐるぐると役者が回ることで、スピード感もあり。
劇場の壁に映し出されるキャスト紹介もどこを観ても視界に入る。
紹介されるキャストが中央セットに登るが、そのときの演技も後に続いていたように思う。

衣装もアースカラー。
優しい風合いで、見ていて心地よい。

親族が持つ武器にかんしては、ちょっとデザインが変?
でも、それをそのまま樹の枝として使うことを考えたらあれが妥当か。

樹が生長していく様を、人を使って表現していたのはよかった。
だんだんと成長していく樹。
それを表現する人がどんどん増えていくことで成長がわかる。
樹の核となる4人(ウルズ、ヴェルザンディ、スクルド、ニーズホッグ)の存在もいい。

青山円形劇場。
円形の舞台上に2m超のセット。(雲突の御神木)
セットの向こう側はもちろん見えない。
客席は4列までなので、どこも舞台から近い。

蝦夷討伐の時代、北欧神話の時代、そして現代。
それが相互に関係しながら、錯綜しながら話が進んでいく。
それぞれの時代を多少知っていたので、話としては面白かった。

『樹』の解釈、存在、人との関わり、信仰、意義・・・
樹が根付く、人も土地に根付く。
運命、宿命、因果、輪廻、生きていくこととは・・・

ただ、舞台の見せ方としては多少。
何かを伝えたいというより、このユグドラシルの世界を表現したいということに重点が置かれていたように思う。

360度の舞台、中央のセットで死角を作る。
つまり、セットの向こう側で何かが行われていても声しか聞こえない。
また、役者が一方を向いて芝居をしていれば、背後の観客は表情を見ることができない。
それを解消する方法はあるけれど、あえてしなかったということは、伝わらなくてもかまわない、ということか。

例えば、役名。
一人の役者が2~3の役を演じる。
しかし、現代のシーンにおいてあえて神の名であったり、巨人族の名前であったり。
そういった呼び名を使うことによって、今がどの時代なのかわかりにくくしてある。
これは、それぞれの時代が相関していることを現したいのかもしれない。
けれど観ている側は混乱する可能性が高いのではないだろうか。

んーーー、最終的に、何が伝えたかったのか。
明確な『芯』が見えなかったのが残念。

でもって、これだけは言いたい。
小手伸也氏。
登場シーンで台詞かみまくり。
ご本人を初めて見たので、この人が作演出と知った時は愕然。
あまりにもお粗末・・・。
これで他の役者の指導が出来るのか、と不安になった。
まぁ、良い役者と良い演出家は別の問題だから関係ないか。

観客に対して何かを伝える、というより。
小手氏の精神世界を表現することに重点が置かれた芝居だったように感じた。
タグ:観劇
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